私は彼にやっと並ぶと、苦渋に満ちた横顔を見つめた。

大神カチョーが……苦しんでいる。
 
「違う、オマエは関係ない。俺がアイツをどうしても赦せなかったんだ…
いつもそうだ。

君が絡むと俺は…冷静な判断ができなくなる…」
 
「ほら、やっぱり私のせいです!私があんなにカチョーに…」

私はついムキになった。

と、彼もムキになって私の耳元で喚いた。

「だからそうじゃないんだって!

好きになった女をあんなふうに扱われたら、男は誰だってこうなるんだよっ」

え?

「あ……」
彼は一瞬、しまったと言う顔をした。


見る見るウチにキレイに染まってゆく頬をしげしげと眺めていると、彼は長い睫毛を伏せて顔を背けた。


「ま、そういう事だから。
ダメだ、やっぱりオマエには…調子を狂わされるな。
ちょっと頭冷やしてくるわ……」


ええ……と?

茫然としている私をそこに残して、彼は足早に街の中に消えていった。


そういうことって……

どういうこと?