あまりの気持ちのよさに欠伸をした私に、彼は優しい声で言った。

「早く寝なさい。
でないと俺は………色々と困るから」

そっか…明日は仕事だもんね。


カチョーは男の人なのに、いっつもいいニオイがする。

だけど今日は、飲み屋さん特有の汗とお酒とタバコのニオイが混じってる。

背中に回された手が、トントンと緩やかな優しいリズムを刻んでいる……


ああ、やっぱり私大神さんが好きなんだぁ…

何だか胸がいっぱいで、目の奥がじわっと熱くなった。

酔っ払いの特権とばかりに、ギュッと彼のスーツの襟元に顔を擦り寄せる。

「うおっ⁉」
彼が奇妙な声をあげ、少しだけ腰を引いた。
 
 ……

優しさに包まれながら、私はやがて至福の中で眠りに落ちていく……


薄れゆく意識の中で彼の声を聞いた気がした。


(お前って……本っ当ヒドイよな)