狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

「……でもな?」

彼は明るく口調を変えて、私の体を引き上げて、向かい合わせに顔を向け両肩にトン、と手を置いた。

気恥ずかしくて、慌てて私は涙を拭いた。

「そう考えた方がさ、ちょっとはマシに思えるだろ?」
 
額同士をくっ付けて、たまらなく魅力的に笑う。

 
確かにそうだ。“好きじゃなかった”と考えるより、それはずっと耳障りのいい説だ。

彼の笑顔に吊られて笑うと、私はたちまち元気になった。

「は、はいっカチョー。
ありがとうございます……ぐすっ。

でも……どうしてカチョーはそんなことが分かるんです?なんだかまるで…」

見てきたように話をする。
目を覗きこんで尋ねると、戸惑う彼はスッと私から顔を逸らした。

「そ、それは俺が……」
「カチョーが?」

「俺は……」

突然。
彼は真剣な表情(かお)で私を見た。
私ははっと息を呑む。

「……なあ、お前本当に分からないのか?」
掴んだ両肩に力を込めて、切ない瞳で覗き込む。

“分かりません”と素直に答えられずに、困った私は目を伏せた。


と、彼はすぐにフッと笑って半ば独り言のように呟いた。
「……そうだよな。言わなきゃ分かんないもんな……っと、もう2時か。
さ、今日はもう寝よ。
寝つくまでは、こうしとくから」

彼は再び、まるっと私を包み込んだ。