狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

それから更に4軒ハシゴの末。

「いい加減やめとけ、女の子が飲みすぎだ」
「黙らっしゃい!トコトン付き合うって言ったでしょうが。さぁ~て、次はドコ行きますぅ~?……うぉぇっ」

すっかり出来上がってしまい、えづきながらクダを巻く私に、大神さんは溜め息を吐いた。

「もう日付も変わったし…さ、イイコだから今日はもう帰ろう、な?」

「イヤ!今夜はもう、帰らない…」
シナをつくって視線を流すと、大神サンは不思議なくらい狼狽えた。

「は?……な、なな何を言い出すんだ君」
「なーんてね、ニャハハハ…」
「………」

 (タチ悪いなぁ)
ブツブツ言いながらも、彼は私の後ろを着いてくる。

「うぉっ?」

ふと見ると、2軒先に昼間見たよなラブホテル。

私はそこでピタリと歩みを止めた。
併せて彼も立ち止まる。

「…決めたカチョー、決めました」
「何を」
私はニコヤカに言い放つ。

「私ね……今夜はホンっとに帰りません。次はアソコ、行きましょう‼」

「はぁ?」
ポカンと口を空け、珍しく間抜けな顔をした彼は、意図を理解して慌てて首を振った。

「ば、バカな事をいうんじゃない。あれは……」

勢いというのはオソロシイ。

私は悪戯にニイッと笑った。

と思うと、狼狽える彼の脇を素早くすり抜け、電飾の門にダダッと駆け込んだ。


「ちょ、ちょっと待てーー‼‼」