狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

かと思えば目の前には、
平日のまっ昼間っから、こ~んな場所を肩を組んで歩いているカップルが。

全く、フトドキ者めが。

そういえば。
ハタから見ると、私とカチョーもそんなふうに見えるのかしら。

違いますよ~、違いますからね~。

意識して私が彼から少しだけ距離を取ると、彼が怪訝そうに私を向く。
 
「どうした?」
「い、いえ別に……」

「あの、オマエさ……
⁉」

その時、何か云いかけた大神カチョーが
急に恐い顔をして歩みを止めた。

ギュッと眉根に皺を寄せ、前方を睨み付けている。

「カチョー?」
彼の視線の方向に私が顔を向けた時だった。

うぎゃ………⁉


突然、大神カチョーは私を後ろ向きに引き寄せた。

と思うと、私の目を両手で隠してしまったのだ。

 
「…ち、ちょっとカチョー!
いきなり何やってんですかぁ⁉」

新手のセクハラ攻撃か?

「エ…ほ、ホラあれだよ。
『だーれだ?』な~んちゃって…」

「そんなの、カチョーに決まってるじゃないですか。
バカやってないで、早く離して下さいよっ」
呆れて彼の手を取ろうとすると、彼はそれをさらに圧迫した。

「い、イヤね。辺りの景色がね?
情操教育上宜しくないかな~なんて」 

「はあぁ?
今さら何言ってるんですか。
大体、赤野はレッキとした大人のオンナで……ま、まさかカチョー」

私はギクリと身を震わせた。