狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

買ってもらったケーキの箱を下げ、私達はそのまま昼食に向かった。

「ちょっといった所にいい店があるんだ。立地が少し悪いけど…」

機嫌よく言った彼は、曲がりくねった道のりを迷うことなく先導していく。
彼が言うとおり、ここらはいわゆるラブホテルなどが立ち並ぶ裏通り。
 
「…へぇ~。カチョーはこういう場所にお詳しいんですね~」

思わず憎まれ口を叩いた私に、
「………ウルサイな。
お?なんだ、やっといつもの調子が出たじゃないか」

彼は不思議に嬉しそうに笑って、頭をヨシヨシと撫でた。


そこで、はたと思い当たった。
もしかして大神さん……私をハゲまそうとしてくれてる?
 
それからも彼は食事の間中、皮肉なしのよそ行きトークで、ずうっと私を笑わせてくれた。

ケーキにランチ、それから楽しいお話ときて…もう間違いはない。

なーんだ、カチョーってば照れちゃって……三上さんに言われたからとか何とか言って、私のことを心配してくれてるんじゃない。

そんなに暗い顔をしてたのかと思うと
少し恥ずかしいけれど、
その気持ちは素直に嬉しい。