しばらく道なりに車を走らせていた彼は、途中で細い裏路にハンドルを切った。
コインパーキングに車を止め、飲み屋街の小路を縫うように歩いて、目的の洋菓子屋さんの前で足を止める。
中に入ると、ショウケースには外観と同じに可愛らしいケーキや焼き菓子が並んでいる。
美味しそう…
落ち込んでいても、ちゃっかり食べ物には反応するもんだ。
指定の品を注文している彼の横で物欲しそうに眺めていると、彼がチラリと私を見た。
「せっかく来たんだ、どれか選べよ」
「え?…でも私。急いで出たからおサイフ忘れちゃってて…」
「いいんだよ、俺が出すから。
その……甘いのが好きなんだろ?」
普段の彼には有り得ない優しい言葉だ。
…アヤシイ。
怪しんだ私は、ジロリと彼を睨んだ。
「言っときますけど、経費で落ちませんよ?」
「分かっとるわ!その、なんだ…
糖分取ったら、笑うエネルギーも出てくるだろう」
「は?」
「い、イヤ。折角ここまで来たからな、ついでだついで。
早く選べ、好きなやつ。あれとあれと……あー、もういいや。全部一個ずつ!」
「え?え~いいですよ、そんなに。悪いし、太るし…」
「いいんだよ!余ったら俺が食うから」
苛々と頭を掻いた大神カチョーに、店員さんが可笑しげに笑った。
…なーんか、変だなあ…
コインパーキングに車を止め、飲み屋街の小路を縫うように歩いて、目的の洋菓子屋さんの前で足を止める。
中に入ると、ショウケースには外観と同じに可愛らしいケーキや焼き菓子が並んでいる。
美味しそう…
落ち込んでいても、ちゃっかり食べ物には反応するもんだ。
指定の品を注文している彼の横で物欲しそうに眺めていると、彼がチラリと私を見た。
「せっかく来たんだ、どれか選べよ」
「え?…でも私。急いで出たからおサイフ忘れちゃってて…」
「いいんだよ、俺が出すから。
その……甘いのが好きなんだろ?」
普段の彼には有り得ない優しい言葉だ。
…アヤシイ。
怪しんだ私は、ジロリと彼を睨んだ。
「言っときますけど、経費で落ちませんよ?」
「分かっとるわ!その、なんだ…
糖分取ったら、笑うエネルギーも出てくるだろう」
「は?」
「い、イヤ。折角ここまで来たからな、ついでだついで。
早く選べ、好きなやつ。あれとあれと……あー、もういいや。全部一個ずつ!」
「え?え~いいですよ、そんなに。悪いし、太るし…」
「いいんだよ!余ったら俺が食うから」
苛々と頭を掻いた大神カチョーに、店員さんが可笑しげに笑った。
…なーんか、変だなあ…



