狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

あれ?
でも、よくよく見てみると……

普段は羨ましいくらいツヤツヤに潤ったお肌が、今日は少しカサついている。
顔色も悪いし目の下に隈もあって、憔悴のあとが窺える。
 
…仕事、本当に忙しいんだな。
言ってたもんね、
“無理してでも上にあがりたい”って。
エライなあ。

そっと髪を撫でてみた。ダークブラウンの固そうな髪は、地の色なのだろうか…

フフッ、何だかカワイイや。

いっつも偉そうな癖に、こうしていると甘えん坊のコドモみたいだ。

一人でクスクス笑いをしていると、いつの間にか彼はパチッと目を見開いていた。

はっ!
眼があってしまった。
き、気まずい。

「スイマセ…」
咄嗟に謝ろうとした時、彼の言葉が遮った。


「赤野はさぁ。近頃、
すげぇシアワセそうに笑うんだよな」

彼の手が、ポカンとしていた私の頬をスッと撫でた。



「アイツが……好きか?」
「え?」


その眼差しに私は、一瞬言葉を失った。

真っ直ぐに、突き刺さるような強い視線が私を凝視する。