狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-


「だいたいね、〆切は先月だったはずだが?」
「し、しかしですねぇ、先方の無理な仕様変更がありまして……」
「じゃあ何故それを報告しない」

……

あーあ、13分過ぎてもまだやってるよ。ま、言ってるコトは正しいんだけどね(多分)。
こりゃあ相当、
フラストレーションたまってるな。

どれ、ここは一つ絶好調のムードメーカー赤野燈子の出番でしょう!

私はスックと席を立った。

「まあまあ、カチョー。
そんなに青筋立ててると、女のコにも嫌われちゃいますよぉ?」

「何だと?赤野。だいたいお前は……」

矛先が私に向かったのを見てとると、市ケ谷さんはササーっと自席に逃げていった。

彼の言葉を遮ってニカッと笑った私は、すかさず必勝の言葉を投げ掛けた。

「なんならワタクシ赤野が、肩でもお揉みしましょうか?」

「う……」
カチョーの目が一瞬だけ彷徨(うろつ)いた。

フフフ…
私はこの2年半で、彼のご機嫌なツボを完全習得しているのだ。

「じ、じゃあ5分だけ…」
彼は大人しく席に座り、折り目正しく膝に手を降ろした。

勝った。