狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

ニヤ……

ハッ、いかんまた…
白昼夢から戻ると、水野女史がいかにもイヤそうに、椅子を少し引いていた。
 
「それに引き換え…」
向かいの三上さんが、チラッと向こうに目を遣った。


「市ケ谷さん、こないだのアレ、まだ出来てないんですか?」
「そ、それが……」
見ると、ちょっぴりだらしないベテランの市ケ谷さんが、課長席に呼び出されて、身を縮めている。


大神さんは最近、どことなくピリピリしている。眉の間の縦ジワが1本多いし、お説教がいつもより3分も長い。

本人は押さえているみたいだけど……
部下はそういうのを、ちゃあんと察知するもので、課全体の緊張感は半端ない。

噂によると、またトップダウンの厄介な仕事引き受けてしまったらしい。
どうせ、それでまたカリカリしてるんだろう。

全く、周囲を巻き込むんだから
仕事好きにも困ったものだ。