狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-



「………ぁ」
ツンとする消毒薬の匂いで、ぼんやりと目が覚めた。
病院のベッドみたいだ。
上に点滴薬がぶら下がっているのが、うすらぼんやりと見える。

「…ハイ出た、A型ね。
ダメだよカレシ、無理させちゃあ……」
「……スミマセン」

視界の隅に大神さんの背中と、向かい合うお医者さん。

ああ私、倒れちゃったんだなあ……

何となくは覚えている。
店を出て、イルミネーションがキラキラで、ピエロを見て……それからえっと何だっけ…

ボヤけた頭で考えていると、霞んだ視界に大神サンが入ってきた。

「目、覚めたか?」
まだ半分眠っている私は、かろうじて頷いた。
「ここ、駅前の病院な。“インフルエンザ”だってさ」
インフル……小学生以来だ。コドモみたいで恥ずかしい。

サワッと髪に手が触れて、柔らかなテノールが響いた。

「コレ(点滴)、まだまだかかるみたい。
遅くまで飲ませて……気付いてやれなくて悪かったな」

また首だけで頷くと、
ボヤけた顔がとても優しく笑った気がした。