狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

「……カチョー」
「ん?」

「……私ね、応援しますよ、カチョーのユメ。オオカミさんなら……きっと上手くやれますから」
遠巻きながらにでも…

「…そっか、アリガトよ」

うん、と小さく頷いた。

見上げた空から、チラチラと雪が舞い落ちる。
それは酔いで熱くなった頬にあたり、心地よくジュッと溶けた。
不思議だな、オオカミさんの優しさに、少しだけ似ている気がする。

いつも綺麗で冷たくて。
なのに不意をついて私にフワッと舞い降りて、泡雪のように溶けては消える……


フッと鼻先に整髪剤の匂いが掠めた。
私は疲れたふりで、彼の頭に顎を置く。

「赤野?」
振り返ろうとした彼の首の前でギュッと手を結んだ。

もう少しだけ……こうしていたい。

大神さんの匂いがする。整髪剤とお酒と煙草、それからオーデコロンの残り香。

それからもうひとつ、お父ちゃんともお兄ちゃんとも違う、異性としての“男”の匂い。
 
ふと、最初のキスを思い出した。

彼にしっかりと触れている、お腹の奥のキュッとする感じが分からないほど、私はもう子供じゃない。

叶わぬヒトだと知ってなお、切ないほどに私の本能は彼を異性として意識する。

もしそれが彼の手管だとしても、今の私なら、ホテルにだって着いていってしまうだろう。

いやだな、意識しちゃうと体が熱くなってきた。

なんだか頭までボーっとして……