狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

すると彼は、私の前に出てしゃがんだ。

「…はい」
「ほ?」

「見たいんだろ?
今夜は俺様が特別に、肩車してやろう」

「か、…い、いいですよっ。
そんな子供じゃないんだから」

「子供と変わんないだろ?
早くしなさい、皆様に迷惑がかかってる」

「う…では…シツレイして…」

そっと肩に足をかけた。ぐっと彼が足首を掴む。
「うひゃっ」

「変な声を出すなっ。もっとしっかり掴まらないと、墜ちるぞ」

そんな事を言われても…

「ちょっとアレな密着感が…」
「バカ、早くしろ」

何だか…ちょっとくすぐったい。
かけた足を、グイッと掴まれて彼にしっかりと密着させられてしまった。

「うわっ」
そのままブワッと持ち上げられる。

途端、世界が広がった。

「…見えた?」

「見えました!」
ピエロさんが、一輪車に乗りながらフウセンで何かつくっているのが。

スゴい眺め、初めてだ。
背の高い彼のそのまた上で、ヒトの頭を眼下に見下ろせる。

ギュッと頭に捕まって、辺りを眺めた。

フフッ、何だか嬉しいや、
背が小さくて良かった。

付き合った女性は星の数でも、これをして貰ったのはきっと私だけ。

ユメの話も私だけ。

今夜だけは本当の……恋人みたいだ。