狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

ぐしっ。
急にウルッときた涙をハナミズと一緒に腕で拭いたその時だった。

「ほら、見ろよ」

飲食店街の路地が開け、大通りに出た。
途端、黙って隣を歩いていた彼が、サッと前方を指差した。


「ウワー、綺麗…」
彼の示した方向に、思わず私は息を飲む。


すっかり暗くなった大通りは、キラキラとイルミネーションで飾られていた。
宝石みたいに輝く世界に、真黒な空からチラホラとボタン雪が舞い落ちる。


暫くボンヤリ眺めていると、通りの少し先に小さな人だかりが出来ているのが見えた。

「あか……の?
あのっ…今夜これから…あれ、赤野」

私はなにか言おうとしたカチョーを置いて、フラりとそちらに向かっていった。

「何やってんだお前は…」
「いや、何か人が集まってて…えいっ」

呆れた顔で追いついてきた彼に、ピョンピョンと飛び上がりながら答える。

「ああ、何てことない。下らないパフォーマンスさ」
彼はヒョイとつま先立ちで、人だかりの中心を見た。

「だって!私には見えないんですもん。
面白いかつまんないかも分からない…えいっ」

勢いをつけてジャンプすると、隣の人がとても迷惑そうに避けた。