屋上に上ると飛行船があった。

「遠隔操作で連れて来たんだ!」

日比谷さんがリモコンを見せながら言った。
外は少し暗くなっていた。山の方の空だけが赤く染まっていた。

「皆、最初は真っ暗なところにいたんですよね」

花彩さんが、山と反対側の空を見て言う。

屋上に行くために階段を上っていた時、皆の共通点を見つけた。
最初は真っ暗な場所にいて、道具を渡される。

そして、何かを求めていた。

「私、もう無い物ねだりはしたくないんです。自分で変えていきたい」

私も、歌手になれないと思ったから努力を奪った。自分で変わろうとせず、ただ欲しいとばかり思っているだけだった。

帰るための飛行船に足を踏み入れる。


今なら分かる。自分は何も出来ない訳じゃない。ただ、元からある力を引き出そうとしなかっただけだ。

未来は、自分の行動次第で変えられる。