誘う幻想 ノーカウント37

息をひそめて様子を見る。ここにいるのはやっぱり強い人たちで、数で負けているからこのままでは進むことは困難だ。

一人増えるだけでも違うってことは分かってるけど、私は戦えない。

「もうやだ……」

涙が溢れてくる。何で私はこんなに弱いの……!?

「見つけたぞ!」

気付いたら、腕を掴まれていた。しゃがんでいたのを引っ張られて、腕が千切れそうなくらい痛い。

「やだやだ!痛い!」

「一人逮捕だ!」

じたばたと抵抗するけど、足を蹴られてあまりの痛さに動けなくなる。
隊長たちが私を見ていた。新井さんが私を助けようとしてくれたけど、逆に殴られてしまう。

ごめんなさい、私のせいで……

手錠がかけられ、道具もとられる。その時、私の腕をぶつけてしまった。

「抵抗したな!」

ナイフが目の前に迫って来た。道具がちょうど私に向かって落ちてくる。
道具が顔に当たる?それとも、先に斬られる……?


「キャアアァ!」


私の叫び声が響いた。でも、私の地声でここまで響く……?
目を開けると、私の周りには人がいなかった。

吹き飛ばされたんだ。

半径三M以内には誰もいない。ぽっかりとあいた空間を見てやっとわかった。

これで私も戦える。急に自信が出てきて、立ち上がった。
ずっと叫んでたら喉が痛くなるから、普通は道具で攻撃を防ぐ。そして、十分に集まって来たと思ったら、音量調節バーを最大にして叫ぶ。
最大にしたら、さっきよりも小さい声でも同じくらいの威力があった。

一応、二回目以降は合図を出す。合図が出たら、鈴鹿さんが配った耳栓を使う。

私が合図をするだけで近寄れなくなる。これを活かして、そのまま扉の先に突入した。

この先に、政府の核があるんだ!