「お嬢様、また病気に……」

「掃除係のリーダーが変わって安心と思ったのに……」

「そういえば、近くの川が汚くなってるのが問題になってるわね……病気になる人もいるらしいわよ。原因は、洗剤が混ざった水をそのまま流したから……」

ここは、私のいた世界と違う。下水道が整備されていないんだ……そういえば、ここの町の人から疫を奪い続けていたな……もしかしたら、川の水はもっと洗剤が混ざっていくかも……ただ疫を奪い続けてちゃ意味が無かったんだ……

そういえば、元の世界でも自分のルールを押し付けて嫌われていたな……
鈴鹿という人を見たとき、ある友達を思い出した。あの人と璃乃は少し似ていた。璃乃は私と正反対の子だった。

「ちょっと手を洗いすぎじゃない?何も他の人の物触ったくらいで洗わなくてもいいじゃん」

「でも、何があるのか分からないんだよ?もし病原菌がついていたら……」

「洗いすぎると、病原菌の侵入を防ぐ常在菌も流しちゃうよ。やりすぎは良くない」

私は病気を防ぐために何が必要なのか全然分かっていなかった。
もう一度やり直したい……けど、もう無理だろう。諦めて、私はゆっくりと落ちていく。

「大丈夫!?」

声が聞こえ、目を開けると鈴鹿が私の腕をつかんでいた。