誘う幻想 ノーカウント37

「二人だけだ。これで終わらせよう」

扉が閉まってすぐに矢が襲ってくる。真貴と海斗は矢を避けた。
矢が無くなれば簡単に倒せる。海斗はそう思った。

「次から次へと……これじゃ近寄れないじゃないか」

これだけの矢をどうやって用意したのかと不思議に思う。いつになったら無くなるのだろうか。

「あれ……無限に出るよ」

真貴が指をさした。六角形の直方体から作られて出てきているらしい。、

「政府ならこういうのも作れるよな……」

考えが甘かった。矢を避けながら近づくしかないかもしれない。
そんなこと、不可能なのはわかっている。

最悪の事態を想像し、体が動かない。落ち着こうとするほど心臓は暴れ、鳥肌が立つような気がする。

「これで矢を防ぎます」

真貴はレターオープナーで矢を落としていく。レターオープナーが近づけられると矢は落ちていく。政府が作った武器の中には、仲間を間違って傷つけないようにする機能があったことを思い出す。きっと政府が作った物で判定しているのだろう。

「なるほど」

海斗は真貴の後ろについて行く。落ちていた矢を拾って向かってくる矢を振り落としたりもした。

「まだ死ななかったのか」

大きな弓を持ったリーダーらしき男が美貴を狙う。美貴はそれに気付いて動きがせわしなくなる。どう避ければいいのか分からず混乱していた。

「よっと!」

海斗は絶えず飛び込んでくる矢を振り落とし、男に飛びかかる。そして弓を奪い取った。

「ごめん。このことは忘れてもらうよ」

後ろに回り込み、手紙を手に取る。中身を確認した後、破った。

「俺は……何をしようとしていたんだ?」

任務を忘れ、立ちつくす。異常に気付いた部下の手紙を破ったり、海斗が気を失わせたりして、まともに動ける者はいなくなった。

「行きますよ。あの子たちが待ってる」

真貴は弱そうな羅雪を心配していた。きっと一人では戦えないから守る人は多い方がいい。早く合流しようと階段を駆け上った。