誘う幻想 ノーカウント37

手錠は猫缶で外し、清は自由になった。

「ありがとう」

「足……大丈夫ですか?」

優里香は心配していた。清は歩いたり少し走ったりする。

「うん、大丈夫だな」

「もし痛くなったら言ってね」

「変な薬使わないだろうな……?」


エスカレーターは10階で止まる。外には警備員が並んでいた。次は……

「きゃっ!」

腕を引っ張られ、外に出される……と、思ったら手が離れエレベーターに押し戻される。

「あなたは戦わなくていい!」

振り返って私に言った。多景屋さんが押し戻したらしい。
扉が閉まり、私は残された。森田さんと多景屋さんが外に出た。

「なあ、次止まったら誰が出る?」

日比谷さんがそう言った。隊長と日比谷さんと私しか残っていない。戦力にならない私は最後まで残されるかも……やっぱり最後は皆降りるのかな。