誘う幻想 ノーカウント37

自動ドアが開き、真っすぐ走る。

「お前ら止まれ!」

警棒を持った警備員がこっちに来た。

「えいっ!」

しかし、新井さんに放り投げられる。
他の警備員も来て、苦戦する……と思ったけど、隊長や森田さん達が次々と倒していく。

「見た目でだまされたね!」

鈴鹿さんがポーチから水色の薬品を取り出し、顔に近づけると倒れる。

「死んでないだろうな!?」

日比谷さんが戦いながら言う。

「大丈夫、ちょっと寝てるだけだよ」

可愛い笑顔だけど、怖かった。
立ちふさがる警備員を倒し、前進する。このままいけば大丈夫と思った時……

「いやぁ!」

襟を掴まれ、皆から引き離される。

「こいつがどうなってもいいのか!?」

警備員の中でも特に大柄な人が言った。

「卑怯な……!」

新井さんはすぐに手を出さず、何か考えている。怖い……早く助けて……
暴れたらもっとひどい目にあうかもしれない。自力で逃げるのは無理だ。

大人しくしていると、手を離された。私の体はそのまま地面に落ちる。

「大丈夫!?」

多景屋さんがそう言った。手にきらりと光る何かを持っていた。
立ち上がって、皆のところに戻る。

多景屋さんは後ろに回って、手紙を破るようなしぐさをする。不思議なことに、装された人は追いかけてこなかった。
花彩さんが槌で叩くと、その人は弱くなっていた。

私みたいに不思議な道具を持ってるんだ。

私も使おうかなと思った時、森田さんに手を掴まれる。そのまま引っ張られた後急に止まる。

「くそっ」

誰かがそう言った後、エレベーターの扉が閉まった。

「……よし、全員いるな」

隊長が人数を確認する。エレベーターは、最上階の一つ下、十三階に行くらしい。