目が覚めると、真っ黒な世界にいた。夢かな……?

「目が覚めたかな?」

「えっあの……」

頬をつねってみたら痛かった。夢じゃない。じゃあここはどこ!?この人は誰!?

「君は歌手になりたいんだよね?」

何でこの人が知ってるんだろう。恥ずかしくて人に言っていないのに……

「何でそんなことを聞くのですか……?」

「君のことは良く知っているのさ。もし、歌手になれる方法があったら……知りたい?」

知りたい……けど、笑われたらどうしよう……

「心配しなくていいよ」

歌手になれる方法……自分一人では無理だ。誰かの力を借りないと……

「知りたいです!」

胸に手を当てると、心臓が脈打つのがわかる。汗が出てきて、余裕がなくなる。

「よし、じゃあ目的地に連れて行ってあげよう」

水色の六角形が現れて光る。怖くなって目を閉じた。