公園の遊具の陰で笹木さんは隠れていた。そして、笹木さんに気付かれないように近づいたつもりだったが……

「きゃっ!あなたは……!?}

「あ、えっと少し気になって……髪に虫が……」

「うそっ!」

笹木さんは必死に虫を探す。とっさについた嘘なので虫はいない。

「えいっ、取れました!」

嘘のおかげで頭上の手紙を怪しまれることなく取れた。いや、取ってしまった。これで、私は逃げられなくなる。

「ありがとうございます」

笹木さんがお礼を言う。私は罪悪感で笹木さんの顔を見ることが出来ず、すぐにその場を去った。

公園の噴水の近くの椅子に座り、手紙を見る。便箋は2まい入っていた。

虫は逃げたのかしら……

森田さん……また会いたい……

2枚目は便箋の感じや肌触りが違った。なんかやわらかくて温かい……

後ろから冷たい、嫌な感じの視線を感じた。私は震えるのを堪えて無理やり2枚目の便箋を破った。