迷走女に激辛プロポーズ

翌朝、午前六時。土曜日だから、お休みだから、もっと寝たいのに、と思いながら私はベッドの中で二つの疑問を抱えていた。

一つ目、なぜ、私はコヤツの腕に抱かれ眠っているのだろう?
二つ目、このような場合、パニクリ絶叫すべきだろうか?

間近にある神々しい寝顔を見つめ、どうしたものかと思案する。しかし、寝起きの頭では良い案も浮かばない。

そうだ! ひとまず無かったことにして、今一度夢界に旅立とう、と恋愛小説によく有る台詞を思い出し目を瞑る。

その途端、額にピチッと痛みが走る。

イテテ、と目を開けると、目前に美しい手が見えた。どうやらこの手がデコピンしたらしい。

その手の向こうに、少し充血した目で、不機嫌そうにこちらを見る佑都がいた。

「お前、何を無かったことにして寝ようとしているのだ」

やっぱりお主もその台詞か、となぜか残念に思いながら、突然、思い出す。
なぜ私が責められる! デコピンされたのは私ではないか!

しかし、朝っぱらから理性を失い喧嘩腰に責め立てるのも大人気無い。ここはまず冷静な態度で話をしよう。