迷走女に激辛プロポーズ

ホラッ、と手渡そうとすると、また、チラッとこちらを見る。
今度は何だ、と思っていると、いきなり背中を向け座る。

ん? これはどういう意味だ? 乾かせと言っているのか? 次は美容院ごっこか?

確かに、美容院で髪を乾かしてもらうのは気持ちがいい。その気持ちは分かる。だが、素人の私がやって、気持ちいいかは疑問だ。とりあえず、正解を聞いてみる。

「乾かして欲しいの?」

後ろ向きの佑都が頷く。
おぉぉ、また正解した。

気分がいいので、美容院ごっこに付き合ってあげることにした。
ドライヤーのスイッチを入れると、ブウォーンの音と共に熱風が吹き出す。

しっとり濡れた佑都の髪に指を通し丁寧に梳きながら風を当てる。
彼の髪は柔らかいのにコシがあり手触りがよかった。

「気持ちいい?」
「ああ……今度、お前もやってやるよ」

温かな空気に包まれながら、「うん、よろしく」と返事をする。
穏やかな時間だなぁ、と私は欠伸を一つする。