迷走女に激辛プロポーズ

洗面所兼脱衣所に入るとテレビの音が聞こえてきた。服を脱ぎながら、そう言えば……と思う。

ここに誰か泊まるのは初めてだ。そこで疑問が一つ生じる。

「奴はどこで寝るんだ……?」

テレビの音と共に佑都の気配を感じながら、再び思う。
まっ、どこでもいいか夏だし。

カーラジオで聞いた懐かしいメロディーを口遊み、浴室のドアを開ける。



「お先でした」と私が言うと、佑都は目も合わせず「ああ」と一言だけ発し、入れ替わるようにバスルームに向かった。

変な佑都……。

彼の背中を見送り、「そうだ、そうだ」と私は冷蔵庫チェックに取り掛かる。

「こりゃ、ダメだ。これはいいか……」

突然家を空けるとこれだからなぁ、と食品整理をしながら、明日の朝食は何にしよう、と中身と相談しながらメニューを決める。

「冷凍食パンがあるし、卵も大丈夫だし、牛乳もOKだったし……まっ、何とかなりそうだね」

紙パックの100%オレンジジュースをグラスに注ぎ、ストローを挿すと洋室に戻る。

つけっぱなしのテレビに目をやると、真面目な顔で男性アナウンサーがニュースを読んでいた。

「……元総帥の日本滞在は十月末までの予定です。以上、鳳居京之助がお伝えしました」