迷走女に激辛プロポーズ

「それで、契約期間満了まで今のアパートに居ると言うのか?」

退社後、約束通り私たちは食事に出掛けた。場所はいつものセカンド。

佑都に対する妙な意識はまだあるものの、あまりの疲労困憊にキュンキュンメーターが振り切れ、気持ちが鈍化してしまった。

恋人というより……また飯友気分に返り咲きだ。
それもどうなんだ、なのだが……。

「うん。そうするつもりだけど」

でも今は、大変だった一日に、まずはお疲れ様の一杯。
フローズンマルガリータ。冷たくて美味しい。

「で、契約更新の返事はいつまでだ」
「今月末だったと思う」

返事をしながら目はパリパリチキンの柚子バターソースかけに向いている。爽やかな柚子の香りとバターの芳ばしい香りが鼻をくすぐる。嬉々とフォークを手にした途端、飛んでくる信じられない言葉。

「そうか。じゃあ、今日、帰宅後すぐに出せ、そして、来週末、引っ越しすると伝えておけ」

「ハァー!」何だそりゃ、と目を見開き佑都を見る。

「引っ越しの手筈は俺がする。全部お任せ楽々パックを頼んでやる。明日、明後日で要る物要らない物の仕分け作業をする。今日から俺もお前のところに泊まり込む」