迷走女に激辛プロポーズ

私は朝からおかしい。

見慣れているはずの佑都の顔が妙に新鮮に見えたり、佑都が近付くと変に避けたり、二人の空間が妙に気恥ずかしかったり……。

彼を“キスできる男性”と認識した途端、意識し始めたらしい私がいる。

「昼、もう食べ終わったのか? 一緒に食べたかったのに」

残念そうに言う佑都にキュンと胸が鳴る。

「あっ、うん。佑都はこれから?」
「そう。夕飯は一緒に食おうな。引っ越しの話も有るし」

またキュンとして息苦しくなる。
このままでは、キュン死するではないか!

「――うん、分かった」
「じゃあ、行ってくる」

佑都の姿が部所から消えると、ようやく鼓動が正常戻り呼吸が楽になる。
しかし、この状態、体によろしく無い。対処法は有るのだろうか?

遥香なら分かるかもしれない。聞いてみようとスマホを取り出し、会議という名の茶会中だったことに気付く。

しょうがない、とひとまず佑都を頭から追い出し、溜まった書類を片付けることにする。

作業に没頭していると、続々と皆が戻って来た。午後の始まりだ。

そして、皆より遅れること三十分。佑都が戻って来ると、たちまち仕事モードだった頭がピンクのお花畑に変わる。

これはいけない、仕事に支障が出る。正気に戻れ、冷静になれ、大野木楓、お前はできる子だ……と午後中ズット自分を叱咤激励し続けた。そして、終業時間を迎える頃には、ヘトヘトに疲れ果てていた。

いったい何やってんだか……トホホだ。