迷走女に激辛プロポーズ

「――楓……楓……」

私を呼ぶ声に反応するように瞼がゆっくり上がる。

「――ん? 佑……都?」

洗いざらしの髪。グレーのパーカー。夢の中で見たネクタイ姿の佑都より、少し若く見える。

「やっと目覚めたな」

佑都がホッと息を吐く。

「――今何時?」
「時間を聞くより、曜日を聞いた方がいいと思う」

今日は確か火曜日じゃなかった?
私が怪訝に思っていると、佑都が答える。

「今日は木曜日。時刻は午後八時を少し回ったところだ」

アングリと口を開ける。
ハァ? 何ですとぉ! ビックリ眼で佑都を見る。

佑都の説明に寄ると、一度目覚めたあと熱が上がり、そのあと何と私は四十八時間も眠っていたらしい。

否、正しくは十一時間眠り、突然起き出し、水を飲み、トイレに行き、着替えを済ませ、また眠り、を繰り返していたそうだ。

自分のことだけど、意味分かんないけど、何かスゴイぞ、私!

佑都はその間、在宅勤務に切り替え、そつ無く仕事を熟していたらしい。
やっぱりできる男は信用有るなぁ……。

私が「在宅勤務で……」なんて言ったら、「サボるな!」って、ど突かれてお仕舞だ、と立場の違いに少々いじける。

だが、流石にこの状態は、ヤバイ、と感じたらしい。
もう一度起こして起きなかったら、女医さんの病院に入院させようと思ったらしい。