迷走女に激辛プロポーズ

「フーッ」と大きく息を吐き出し一息付く。

「ありがとう」

佑都の腕に寄り掛かったまま、彼を見上げ、笑みを浮かべる。

一瞬、佑都の瞳に狼狽の色が見えたが、彼はいつものようにポンポンと頭を叩き、たまに見せる優しい眼差しを私に向ける。

「いつも、そのぐらい素直だったらいいのにな」

グラスを持つ手を入れ替え、空になった手を私の顎に添えると、口元に残った水滴を親指の腹で拭き取る。そして、手の甲で私の頬を撫でる。

普段の私なら、照れてその手を速攻で払い除けていただろう。だが、今はそんな気力もない。

「まだ、熱いな。着替えたらもう少し眠るといい」

「うん」と返事をすると佑都は頬から手を離し、用意してあったらしい着替えを私の足元の方から掴み取り「ほら」と渡す。

テレンとした白いTシャツと麻っぽい黒の短パン。佑都の物のようだ。

「じゃあ、俺はリビングに居る。何かあったら声を掛けろ」

素っ気無い佑都の態度が少し気になったが、申し出を有り難く受け取り、のろのろと着替える。

ただ、短パンはウエストが緩過ぎ、かえって気持ち悪いので履かないことにした。Tシャツはダボダボだったが、シルク素材で肌触りが良かったので少しだけ気持ちが上昇する。

着替えを済ませ、もう一度ベッドに潜り込むと、たちまち瞼が塞がり私は夢界に旅立った。