迷走女に激辛プロポーズ

「本当、お前Sだな」

イヤ! 清香にMと言われた私だ、たぶんそれは佑都に限ってだろう。

「アレッ、そう言えば、入社式以前は出会わなかったね」

急に思い出したように問う私に、佑都はハハッと笑う。

「ああ、元々縁故入社だ。KOGOの役員になる前の武者修行みたいなもの? 面接とかスッ飛ばしたからな。白鳥姓は婆様の旧姓だ」

佑都の本名はウィリアム・佑都・ミラーだそうだ。
ファーストネームにミドルネーム……クッ! カッコイイじゃないか!

全てにおいて負けた感が半端ない。
と同時に、今頃本名を知った、という事実が何となく面白くない。

ちょっとスネ、口を尖らせていると、何、不貞腐れているんだ、と唇を引っ張られる。

アハハ、アヒルみたいだな、と笑いながら話を続ける。

「お前と再会した後、以前と違うお前の態度が気になり、先輩から事情を聞き出した。で、しばらくお前を観察していた俺は、やっぱりお前が欲しいと動き出した」

「それが、あのエレベーター?」

やさぐれ感は否めないが、お前が欲しいの言葉に、ちょっぴり気分が上昇する。

「ああ! あの日、お前は俺に『笑えるんだ』って言ったろ。あの時確信した、お前も俺に関心があると。それで強引だが食事に誘った」

佑都は私の前髪をサラッと撫で上げ、額にキスをする。