迷走女に激辛プロポーズ

それを目で追い、絨毯の上に広がるシミを見つめ、グラスが割れなくて良かった……と冷静で余裕な私が口の中で呟く。

こんな時だから、冷静なのか……余裕なのか……はたまた奇想天外な現実に感覚が麻痺しているのか……とにかく自分でも呆れるぐらい落ち着いていた。

それに反して……。

「やっとその気になったか!」

佑都は飛び跳ねんばかりの喜びようだ。
こんな無邪気な姿、今まで一度も見たことがない。子供か!

しかし、それも一瞬だった。

「言葉の意味、俺のと同じだと思うぞ」

その直ぐ後に現れた彼は、オスを匂わす肉食獣。
だが、婚約者に感じた嫌悪は無い。

それどころか、彼の一挙一動がドキドキと胸を高鳴らせる。
ああ、彼への思いで気持ちが溢れそうだ。
彼が愛おしい……。

だからだろう、私は彼の首に両腕を回すと、初めて自分からキスをする。
目を開けると、一重で切れ長の眼が、驚いたように私を見つめていた。

触れたい、キスしたい、それ以上……したい……そんな思いがドンドン溢れ、貪欲になっていく。