迷走女に激辛プロポーズ

パーティー終了後、怒りモード消えぬ私を佑都は強引に拉致り、引きずるように連れてこられた所は、前回のジュニアスイートの倍もある部屋。

「なぁ、楓、楓ちゃん、機嫌直せ。せっかく二人切りになれたのに……」

人間二人に対して、この広さは……無駄だ、と益々不機嫌になる。

佑都はバーカウンターに置かれたバケツ型のワインクーラーから、シャンパンを一本引き抜く。……あれは確か希少で貴重と言われる高価なサロン。

「スウィートルームだぞ、甘い時を過ごす所だぞ」

手慣れた様子で、ボトルを斜めに持つと音も無く栓を抜き、冷蔵庫で冷やされていたシャンパングラスに注ぎ入れる。

流れるような一連の動作。美しい……見惚れる。
嗚呼、厄介だ……。

「sweetじゃなくsuiteね。勝手な解釈しないでね」
「どっちでもいい、俺たちにとっては甘い夜を過ごす部屋だ」

コヤツまた恥ずかし気も無く、恥ずかしい台詞を!
本当に厄介だ……。

「爺様がせっかく婚約初夜を祝し、プレゼントしてくれた部屋なのに……」

目前にシャンパングラスを差し出し、哀し気に清が目を伏せ、肩を落とす。

それが演技だと分かっていても……。
嗚呼、本当、厄介な男に惚れたものだ。