迷走女に激辛プロポーズ

壇上でイーサンに迎えられ、いつものように軽くハグされ、頬にキスを受ける。

「驚かせてすまなかったね」

チャーミングなウインクを一つすると、佑都と共に舞台中央に立たされる。
会場の視線を一身に集め、嗚呼、針のむしろだ、と苦痛に思う。

そして、以前、針山地獄で私と同じ針千本の苦痛を味わうがいい、と佑都を呪ったが……針山は痛過ぎる、と心の中で撤回の意を表する。

こんな風に意識を違う方に働かせている間に、佑都は三代目KOGO後継者として、私は彼の婚約者として紹介される。

佑都が軽く挨拶をし、嗚呼、これでお役御免だ、と思ったら、突然、佑都がポケットから指輪を取り出す。

「これ、婆様の指輪だそうだ、お袋からお前にって」
「婆様って、雪乃さんの?」

佑都を見、それからイーサンを見る。イーサンがニッコリ微笑む。

「そう、お袋が婆様に貰ったそうだ。で、今度はお前につけて欲しいって。でも、これはこれ! ちゃんと俺からの指輪は贈るからな」

それはとてもシンプルな真珠の指輪だった。だが、艶と輝きで高品質の物だと一目で分かった。

イーサンと雪乃の恋バナを聞いていた私は、その指輪が女神から贈られた宝物のように感じた。だから、躊躇なく左手を差し出す。