迷走女に激辛プロポーズ

奇想天外な事実に、現実とは到底信じられず、思考が迷路のような回路をグルグル駆けまわる。

だが、それも長く続かなかった。
前々から、佑都が只者ではないと思っていたのと……。

アーア! もう止め! イーサンはKOGOの前総帥で、佑都はイーサンの孫なだけだ! これが事実だ!
やけっぱちで無理矢理事実を飲み込む……というよりも、ほろ酔い気分に、考えるのが面倒臭くなったのだ。

どうやら、皆も同様らしい。騒然となっていた会場も、いつしか、お祝いムードいっぱいのお祭り騒ぎに変わっていた。

何が流石か分からないが、やっぱり流石、帝の変人集団。
イヤ、サバイバル社員。どんな環境でも生き残れる思考の持ち主たちだ。

ああ、そうか、と思う。
こういった人たちが社員だから、移り変わりの早い世の中でも、帝は安泰でいられるんだ。

「いやぁ、そうだったのですか! 白鳥課長が御曹司とは! やられました!」

帝のパパラッチ遥香としては、ちょっと悔しかったのだろう、詰が甘かったと反省しきりだ。

娘よ、お主もどこに向かっているのだ?

だが、全くと言っていいほど、両親と兄、そして、清香、ついでだが、圭吾に驚きの表情は見受けられない。何故に?

「佑都、楓さんとこちらへ」

ひとしきり騒いでいた会場が落ち着くと、イーサンがマイクで呼び掛ける。