迷走女に激辛プロポーズ

「フン、お前の冗談は本気だからタチが悪い。妹に近付くな! 分かったな」
「エーッ、そりゃないですよ。お友達なのに」

ハテ、奴といつ友達になったのだ? 覚えがないが……。
で、コヤツ、私たちが兄妹と知っていたのか?

「遥香ちゃん、お待たせ」
「アッ、ママさん、お待ちしてました」

また、聞き覚えのある声。振り向くと父と母まで。

もしや……と非常に悪い予感がする。
その時、突然照明が落とされ、舞台上、司会者位置にピンスポットが当たる。

「レディース&ジェントルメン、本日のスペシャルゲストをご紹介します! KOGO前総帥、イーサン・ミラー氏です。皆様、拍手でお迎え下さい」

司会者、鳳居京之助の声と共に、ピンスポットは舞台中央に移り、盛大な拍手が鳴り響く中、現れたのは異国の老紳士。

ウソッ! 声にならない驚きで、立ち尽くす。そして、ようやく思い出す。
嗚呼、そうだ! 社歴のページに載っていた顔だ……と。

疑問が解けてゆく。だから、社食にいたんだ。
それにしてもあの写真、何十年前のだ! ずいぶん若い!

あぁ、だからすぐに分からなかったのだ、とちょっとした詐欺にでもあったような気分になる。