迷走女に激辛プロポーズ

佑都が蓋を開ける。純白の台座に、ピンクダイヤをあしらった品の良い指輪が厳かに鎮座していた。

本来なら、飛び上がって喜ぶ品だろう……だが、私の眼は指輪の向こうにいるメイ・槇原を見ていた。

「昨日はこれを受け取りに行っていた。あそこはメイが個人提携している店だ」

フーン、だからあそこにいたのか。
セレブリティ商店街……噂は本当だったか……。

「あのキスは何の意味も無い。アイツ、餞別だと言って笑っていた。昔からそういう奴だ。だから俺も大人げなく怒れず、苦笑するしかなった。だが、お前が見ていたとは……嫌な思いをさせた……悪かった」

悪かっただ! キスってそんなに軽いものなのか?
見つからなかったら、何事もなく済ますつもりだったんじゃないか、ムカツク!

あの時のシーンを思い出すと、グチャグチャの感情が、涙となって溢れそうだ。
それを唾と一緒にゴクンと飲み込む。

「――答えが出た」

自分でも驚くほど低い声だ。最悪のタイミングだが、致し方ない。
佑都は身体を強張らせ、息を飲む。

「今、私はめちゃくちゃ怒っている」

彼の顔が苦痛に歪む。