迷走女に激辛プロポーズ

「ただいま。おっ、ミルクアイスを食う牛子か、可愛いぞ」

佑都が抱き締めキスしようとするのを素早く阻止する。

「そうだな、先、風呂入ってくる」

フム、いつもと変わった様子無し!
イヤ、多分に浮かれ調子だ。ダダ漏れだ!

最後のアイスを口に入れ、ダイニングに向かい、ゴミ箱の蓋を開け、空容器を思いっ切り投げ捨て睨み付け、スプーンを乱暴に洗う。

何が牛子だ! 可愛いだ!
奴を言い逃れできぬようにしなければ!

作戦を練りながら、大き目のグラスを取り出し、冷やしておいたハトムギ茶を注ぎ、ストローを挿すとリビングに戻る。

ソファーの上で、また胡坐をかき、考え事を悟られぬようテレビをつける。

頭の良いアヤツのことだ、真っ当に聞いたところで、口八丁でノラリクラリ言い逃れするだろう。

思案しながらチューチュー飲んでいると、佑都がお風呂から上がってきた。

グレーのハーフパンツに白のTシャツ。何の変哲もない普通のルームウエアー。なのに……クソッ、カッコイイじゃないか!

奴を見ないように、意識をテレビに向ける。
例の渋面で名前まで渋い鳳居京之助アナウンサーが画面に映る。

この人の顔はどちらかといえば、兄と同じ醤油系だな。この顔も嫌いじゃない。でも、塩には負けるか……とラーメン評論家のような評価を下していたら、いきなり肩を抱かれキスされる。

しまった! 作戦失敗! 隙を突かれてしまった!