迷走女に激辛プロポーズ

――佑都がキスされた瞬間、私が知る佑都がいなくなった……物凄く怖かった。次の瞬間、針千本が一気に胸に刺さったように体中に痛みが走った。

そして、今、努めて冷静さを保っているが、猛烈な怒りが込み上げている。

「おのれ、佑都め!」

沸点をはるかに超えた怒りが、全身を熱くたぎらせる。
今朝、あんな甘い言葉を囁きながら、舌の根も乾かぬ内に!

甘いアイスを敵のように睨み、スプーンをグサッと突き刺す。

「アヤツ、只では済まさん!」

怒りに任せ、スプーンに乗った大量アイスを口に入れる。その途端、米神にキーンと痛みが走る。

イタタタタ。

そこで少し冷静になる。左右の米神を人差し指でグリグリしながら考える。

しかし、彼女何者だ? もし、本当に私の存在に気付いていたなら、私を知っていた、ということだ。

フン、私を挑発するつもりか? その手には乗らぬ!
よし! 其の弐でいこう。但し、キレずに冷静にだ!

そう決定したところに、罪人佑都のお帰りだ。時計の針は十時半を指している。
あれから四時間強、いったいどこで何をしていたのだ!

メラメラと再熱する怒り。いざ、決戦の時! 今に見ておれ、極悪人め!