帝に入社したのは五年前のことだ。当時、私は婚約者を亡くしたばかりで、まるで生きる屍のようだった。
内定を辞退して引き籠って世捨て人になろう、と本気で思っていた。それを止めたのは父だった。
「辛いのは分かる。だが、楓が就職したいと無理矢理受けた会社だ。取り敢えず三か月、仕事のことだけ考え、我武者羅に働いてみなさい。三か月後、改めて話を聞く」
社会的に地位も立場も有る父。だからこそだったのだろう。普段は娘に甘々なくせに、あの時、有無も言わさず、強引な言葉を浴びせたのは……。
いつも呆気らかんとしている母も、その時ばかりはオロオロしながら心配していたが、仕事絡みのことで父に逆らえる筈もなく、私同様、父の命に大人しく従った。
だが、なぜ三か月だったのか? それは帝が今時珍しく、研修期間(別名:お試し期間)を三か月設けているからだ。
この間、新入社員は各部署を一週間ずつ回り、適正部署の見極めをされ、その後、正式な配属先が決まる。最悪、入社取り消しも有るらしい。
内定を辞退して引き籠って世捨て人になろう、と本気で思っていた。それを止めたのは父だった。
「辛いのは分かる。だが、楓が就職したいと無理矢理受けた会社だ。取り敢えず三か月、仕事のことだけ考え、我武者羅に働いてみなさい。三か月後、改めて話を聞く」
社会的に地位も立場も有る父。だからこそだったのだろう。普段は娘に甘々なくせに、あの時、有無も言わさず、強引な言葉を浴びせたのは……。
いつも呆気らかんとしている母も、その時ばかりはオロオロしながら心配していたが、仕事絡みのことで父に逆らえる筈もなく、私同様、父の命に大人しく従った。
だが、なぜ三か月だったのか? それは帝が今時珍しく、研修期間(別名:お試し期間)を三か月設けているからだ。
この間、新入社員は各部署を一週間ずつ回り、適正部署の見極めをされ、その後、正式な配属先が決まる。最悪、入社取り消しも有るらしい。


