迷走女に激辛プロポーズ

「白鳥課長が言ったように、一度すべてをリセットして、もう一度緞帳が上がればいいけど……子猫ちゃんの場合、緞帳を下した理由を取り除かないと再演は無理ね。でも、貴女はそれをしない。だから永遠に気付けない」

清香はソルティドッグを一気に飲み干し、大きな息を吐く。それからフフッと乾いた笑みを漏らす。

「ほんと……貴女の舞台に上がった共演者たちは哀れだわ……一生浮かばれないもの」

呟くような低い声が吐き捨てるように言う。

「その罪は大きいわ」

ドクンと胸が鳴る。エコーがかかったように、その声がいつまでも耳に響く。

やはり私は彼女に何かしたのか! 彼女の言葉が自分もその共演者だ、と告げている。

喉の奥に何か詰まったような違和感。それを拭い去ろうと、手に持つグラスの中身をズズッとストローで飲み干す。

「……な~んてね」

打って変わったようにお道化た清香が言う。
さっきまでの、おどろおどろしい妖気は何処へ、と思うほど明るい清香の声。

「心配しなくても、白鳥課長の手腕なら、子猫ちゃんもすぐ気付くわよ」
「そうです! 白鳥課長、巻き返しの陣です!」

固唾を飲んで見守っていた遥香が若干引き攣り気味の顔でウンウンと頷く。

「誰が、何の陣だって?」

すると突然、そこにないはずの声が聞こえる。