彼の腕の中はいつも温かく心地良い、その言葉を丸ごと信じたい。
『だが!』とちゃぶ台の私が現れる。『今回ばかりは、貴殿のご加護を信じることがでないのです。いっそこのままどこか山奥にでも捨てて下さい。その方が私の身のためです』と涙目で訴える。
私も同意だと心で頷き、ハァーッと大きな溜息を付き、佑都の腕から抜け出しスマホをタップする。
呼び出し音の後、聞こえてくる陽気な母の声。彼女はいついかなる時も変わらない。そういう意味では、父も兄さえも母には勝てないだろう。
「楓ちゃん、お持たせは洋菓子専門店マムマムのチーズケーキ、ホールでよろしくねっ」
要件を述べ、切りかけた電話の向こうから、催促の声。
兄の好きなケーキだ。これで機嫌を取れということか? 本当、食えない母だ。
翌日、日曜日。何処までも続く深く濃い青空。目も眩みそうな暑い陽の光。まさに夏。
だが、私の目前は暗雲立ち込め、心中、土砂降り状態だ。
今日は決戦の日。だが、それが負け戦だと分かっているだけに、悲しいかな気持ちは後ろ向きだ。
「湿気た顔だな」
今回も佑都の役に立つこと無く、優秀なカーナビちゃんの案内で、大野木家に向かう。
『だが!』とちゃぶ台の私が現れる。『今回ばかりは、貴殿のご加護を信じることがでないのです。いっそこのままどこか山奥にでも捨てて下さい。その方が私の身のためです』と涙目で訴える。
私も同意だと心で頷き、ハァーッと大きな溜息を付き、佑都の腕から抜け出しスマホをタップする。
呼び出し音の後、聞こえてくる陽気な母の声。彼女はいついかなる時も変わらない。そういう意味では、父も兄さえも母には勝てないだろう。
「楓ちゃん、お持たせは洋菓子専門店マムマムのチーズケーキ、ホールでよろしくねっ」
要件を述べ、切りかけた電話の向こうから、催促の声。
兄の好きなケーキだ。これで機嫌を取れということか? 本当、食えない母だ。
翌日、日曜日。何処までも続く深く濃い青空。目も眩みそうな暑い陽の光。まさに夏。
だが、私の目前は暗雲立ち込め、心中、土砂降り状態だ。
今日は決戦の日。だが、それが負け戦だと分かっているだけに、悲しいかな気持ちは後ろ向きだ。
「湿気た顔だな」
今回も佑都の役に立つこと無く、優秀なカーナビちゃんの案内で、大野木家に向かう。


