迷走女に激辛プロポーズ

「時間は?」
「午前十一時。お昼を一緒に食べましょうって、母が……」
「分かった。お伺いする旨、伝えておいてくれ」

行きたくない……でも、キャンセルしたら、更にひどい事態になる!

引越ししたのは伝えた。知人と同居するとも言ってある。
だが、相手は男だとは言っていない。

相談もなく結婚宣言したら……そりゃあ怒る。当然怒る。
その上、その相手が同居人と知ったら……ダメだ! 恐ろしくて考えたくない。

だが、結婚宣言のことは急だったし、当事者なのに私が知ったのは前日だ……ということは、一番悪い奴は……と佑都を見る。しかし、今さら言っても後の祭りだ。

堂々巡りの迷路に迷い込み、私は項垂れ、小さく「うん」と返事をする。
あまりの意気消沈ぶりに佑都は慰めるように、ポンポンと頭に手を乗せる。

「楓……心配するな」

その手で優しく髪を撫で、ソッと唇にキスを一つ落とす。そして、瞳を覗き込み言う。

「お前を守るって言っただろ。安心しろ」

優しい眼差しが私を見る。そして、額にもキスをすると佑都は私を安心させるように抱き締める。