迷走女に激辛プロポーズ

フム、と悟ったように佑都が頷く。

「なるほど。ご家族としては当然の反応だ。分かった。明日、伺うことにしよう」

佑都は事も無げに言うが、これがどんなに恐ろしいことか分かっていない。
とりあえず両親はちょっと横に置く。問題は兄だ。

兄の修一は、冒険家としても旅行作家としてもかなり有名で、ビジュアルの良さから各種のマスメディアから引っ張りだこだ。お陰で一年のほとんどを海外で過ごし、滅多なことでは家族でも会えない人物だ。

つい先日、今はアマゾン奥地でワニと生活していると聞いたばかりだ。

それがなぜこんな時に日本に……それも稀にしか戻らない実家に、どうして居るのか分からない。分からないが居るのだ。

兄はマグマのような人だ。本来の姿を静穏、且つ、威風堂々とした見てくれで隠しているが、その実、一旦爆発すると、全てを飲み込み焼き尽くす猛炎のエネルギーで、対する相手を灰も残さず焼き消し去ってしまう。

彼を敵に回せば復活は無理だ。そう、私には父より恐い存在なのだ。