迷走女に激辛プロポーズ

だが、ホッとしたのもつかの間。一難去ってまた一難とはこのことだ。

佑都との話がひと段落した一時間後、私は通話の切れたスマホを手に、呆然とリビングに立ち尽くしていた。

「お先、ん? どうかしたか」

湯上がりの佑都が呑気な声で訊く。
彼の声で我に返り、自分でも意味不明な言葉を発しながら彼の胸に飛び込む。

「ウワッ、何だ!」

いきなり凄い勢いで突進してきた私を、佑都は必死と受け止める。

「どうしよう!」
「おい、こら、結婚を断っておきながらなんて大胆な奴だ。何が起こった?」

私をひっぺはがすと、彼は怪訝に顔をしかめる。

「バカー! 誰のせいだと思っているのよ!」

そして、今度はグーで彼に殴りかかる。

「こら、止めろ」

佑都は機敏に私の両手を掴むと、そのまま抱き寄せ身動きできないようにする。

「だから、何があったか、ちゃんと話せ」

その落ち着きが腹立たしくて、思いっ切り佑都を睨み付ける。そして、ヒステリックに叫ぶ。

「どういうルートでかは分からないけど、結婚宣言のこと両親と兄が知っちゃったの! 明日、二人で家に来なさいって! どうしてくれるのよ!」