迷走女に激辛プロポーズ

朝食の準備はしてくれたが……メモ書きは残してくれたが……まだ佑都は怒っているようだ。

できる男だから仕事に私情は持ち込まないが、ヒシヒシ伝わる摂氏零度のその態度。
もう、いい加減にしてくれ! と切れそうになる。

それでも何とか噴火を抑え、午前中、ポーカーフェイスで乗り切る。
ようやくランチタイムを迎え、やっとホッと一息付けると思ったのに……なぜ貴殿はそこに座る?

怒っていても当然のような顔で、私の横に座る佑都を横目で見る。
だが、ここで追究するわけにはいかない。目の前に遥香、斜め前に清香が座ったからだ。

清香は知っていたが、遥香も今日は出勤だったのか?

「聞きましたよ、楓様」

椅子に腰掛けるなり、遥香が悪徳商人越後屋のような笑みを浮かべる。
おっと、と私は身構える。

彼女がこういう顔をする時は、とんでもないことを言い出す時だ。
フト思い出す。もしや……結婚宣言の件か?

「百合子に会ったそうですね。彼女、超箱入り娘だから、困ったちゃんだったでしょう」

だが、彼女の口から飛び出したのは聞いたこともない名前。
百合子? 誰、それ?