迷走女に激辛プロポーズ

ハッと顔を上げる。

「で、そいつに、婚約しているわけでも、結婚したわけでもない、だから俺はまだフリーで、アタックしたければ勝手にしろ、とか何とか言ったらしいな」

佑都は私の頬を抓り、ホラどうなんだ! と左右に揺らす。

「止めろ、痛いじゃないか!」

佑都の手を引き剥がそうとするが、反抗するほどに力が加わるので、おとなしくする。

するとヤツは抓っていた手を放し、頬を優しく撫でる。そして、その手を後頭部に回すと今度はキスしてきた。

だが、今迄みたいに軽やかな優しいキスではなく、乱暴で荒々しいキスだった。

「ちょっ、ちょっと……」

口を開くと、いきなり彼の舌が口内に飛び込む。その瞬間、体がビクッとわななき、私は佑都を突き飛ばした。

「バカー! 何するのよ!」

手の甲で唇を拭うと、佑都を睨み付ける。
佑都はフンと鼻を鳴らし、徐に立ち上がると私を見下ろし言った。

「明日、結婚宣言したら、近々婚約披露のパーティーもやってやる! これで俺はお前の言うところのフリーじゃなくなる。どうだ参ったか! ざまあみろ」

それからプイッと顔を背けると、自室に姿を消す。