誰かが誰かを呼んでいる。

いつまでたっても呼ばれている相手は返事をしない。

「あの……っ、ちょっと待ってください……っ」


まだ返事してもらえないのか……。


可哀想に……。


それにしてもまだこの季節は涼しいな、、、。

帰り道は影が多く、いい風が吹いている。



そんな感慨にふけっていると、


「あの……っ、城川さんっ」



ふーん。

呼ばれてる子城川さんって子なんだ。



……。


は……?


城川さん?   



……って、もしかして私……!?




自分の事ではありませんように!、と願いながら立ち止まりゆっくりと後ろを振り返った。



三メートルほど後ろにたっていたのは、さっき曲がり角で目があった男の子だった。 
 


小走りで追いかけてきたのか息が上がっていた。



「今……、わ、私のこと呼びましたか……?」



うん、と頷くと私の目の前までやってきた。