若頭に愛されて




無意識に先ほどの怜央とのキスを思い出す。

優しい、触れるだけのキスを。


あの忘れられない、きれいな思い出を汚さないで、、、。


龍とのキスを気持ち悪いと思ってしまった。

「やめ…っ、……てっ、…んんっ」


汚されたくなくて、必死に抵抗する。

「なんだ、今日はやけに嫌がるじゃないか」
「……っ」
「まぁ、嫌がられると余計そそるんだかな」

ニヤリと口の端が持ち上がる。


ゾクリ……。


「それとも、、、100円ショップの帰りにでもなんかあったか?」

「っ…………なにも、……ないよ」


龍の眉がつり上がる。


な、なんで……!?
ちゃんと否定したのに…。
ほんとのことなんて言えるわけない。


一瞬龍の瞳の奥が悲しげに揺れたのを未愛は気付かなかった。


また龍の顔が近づいてきてキスされそうになる前に私は寸前のところで肩を突き返した。