嫌な事ばかり言ってくるまるで恋愛とお金とおしゃれにしか興味のないだけの地が黒いお猿さん方は、結局化粧を落として清楚系を狙って弘樹とかいう下世話な男子に猛アタックしていましたけど、彼の片側に女子が居たのが見えなかったようで、氷点下のまなざしで見つめられていたときはこらえきれないくらいの笑いが心のおくから湧き出してきました。
正直興味のない部類の話だったので、そのあとお猿さんたちのことは気にせず部活に打ち込むみなさんを裏側でサポートしていました。


サッカー部の練習はかなり遅くなるので、それに比例してマネージャーの帰りも遅くなります。
亜子は文化部なので、部活がないとき以外は先に帰ってもらっています。

「あー・・・楽じゃないなあ」

桜吹く道を自転車に乗り通り過ぎていく。ライトの光の前を桜の花びらが散っていって、とてもきれいです。

ゆるゆる上がる坂をこいでいて、とても好きな場所があります。
それは、町と川がよく見える、町で一番大きな桜の木。
美しくて、妖艶で、不思議でした。
毎回つらいことがあったとき、そこに行くとどうにも落ち着く気がして。

「はあ・・・・・・・・あれ?」

気付いたのは、自転車を止めて降りたとき。
町側の方向をじっと見つめて、風に吹かれながら座っている青年が居ました。
私と同じ学校の制服を着て、座る姿はどこか不思議でした。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

その時でしょうか。
ちょうど彼の瞳が、少し揺れたのは。













































彼が、カゲロウのように揺らいだのは