咲き誇るものは忍の恋なり

その頃、その建物内では、鉄格子の中に手足を拘束された冴音と紫音が入れられていた。また、冴音と紫音も、今では意識を取り戻している。

「どうしましょう?主。」

「今は黙って様子を見ましょう。相手は男女1人ずつ。万が一でも相手は出来るはずですから。」

「御意......」

冴音の言う通り、この場にいるのは男と女1人ずつ。戦闘になったとしても、相手をすることは容易いだろう。その時

「お前ら.........俺達が誰だかわかるか?」

と男が言った。冴音と紫音は顔を見合わせる。やがて冴音が肩をすくめ、

「さぁ............知りませんね。」

と返す。

「鈴と蓮の親よッ!!」

女の方が叫んだ。

「鈴と蓮.........誰だ......?」

紫音が呟く。

「とりあえず話をききましょう。」

冴音が紫音に言い、紫音は黙って頷いた。

「5ヶ月前、お前らは俺達の子供の鈴と蓮を攫った。後に2人は戻っては来たが.........」

「少しして............死んだのよ.........ッ!」

おそらく、その鈴と蓮という子供は鬼のエネルギーとされたのだろう。冴音と紫音は黙ったままだ。

「お前らに解るかッ!?子供を失う悲しみが!!」

男が叫ぶ。2人は全く動じない。

「.........理解する気にもならないな。」

「!!お前ら.........!」

「では聞きましょう。僕達の気持ちが君達に解りますか?」

「「............殺す.........!!」」

冴音と紫音の放つ言葉に逆上した2人は、刃物を持ち冴音と紫音へと襲いかかる。

「「!!」」

その時

「水奏!」

どこからか術が放たれ、男と女を吹き飛ばした。